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演じられた近代 <国民の身体とパフォーマンス> 兵藤裕巳 岩波書店 2005

近代の美術を制度史的に語った佐藤道信氏の著作は説得力があり面白かった。 作品の美学的な評価にあまり拘泥せずに、幕末明治の国家創世期に制度として立ち上がった美術、という視点が一貫していてブレないので主観的なつっこみを入れる余地がないことが一因…

パートナー 名香智子 小学館 1〜8巻

競技ダンスもの少女漫画。 そういえばイギリスに滞在していたとき、ブラック・プール(ハリウッド版shall we danceでジェニロペちゃん回想シーン中、競技中に転倒したあの大会)なんかは各家庭でテレビを見て楽しんでいるとイギリス人が言っていた。大変人気…

なにも見ていない 名画をめぐる6つの冒険 ダニエル・アラス著 宮下志朗訳 白水社 2002年

Daniel Arasse On n'y voit rien Descriptions, Denoel, 2002 先日ドレスデン展を見た帰り、家の鍵を忘れたため待っている間に本屋に寄って買った本。軽い読み物風でありながら、一貫して提示されているのは、絵画の外部にある要素(テクスト、図像学的伝統…

聖書 創世記 ー原文からの批判的口語訳ー フランシスコ会聖書研究所

時々地下鉄の文庫から本を借りてうちに着くまで読む。 大体の推理小説は読み尽くしたので、聖書を手に取った。 つねづね読むと頭に来ていた聖書。神が信じる者だけを救うからだ。 開くとたまたま、イサクの犠牲。恐ろしい顔をしたアブラハムが 一人息子イサ…

3月頃図書館で借りて読んだ本の備忘

いい加減返さねば。 ・ナチュラリストの誕生―イギリス博物学の社会史 デイヴィッド・E.アレン 平凡社面白かった。巻末の参考文献が国内では入手しにくいかも。 ・魔の王が見る バロック的想像力 高山宏 ありな書房これもいい加減自分で買おう。しかし探す時…

グリーンバーグ批評選集 C.グリーンバーグ 藤枝晃雄、上田高広ほか訳 勁草書房

これがもし学生の頃に出ていれば楽だったな。 昔読んだ原文はベランダ納屋の闇に消えているので、 何となく買う。正確には買って頂く。どなたかM.JayのDawncast eyesを訳出して下さらないものか。 厚い本なので結局完読しなかったことを思い出す。 家人の集…

吾妻ひでお 失踪日記         

吾妻ひでおが失踪していたとは知らなかった。内容は失踪中の吾妻が何をしていたかについて。 かなり過酷な現実が、かわいい絵でさらりと描かれていてこわい。描くのも大変だったのではなかろうか。 が、それによって吾妻ひでおが話題になったのは良いことだ…

植物記載学 牧野富太郎 大日本博物学会 1913

牧野富太郎の植物学講義中の植物記載学についての講義録。 出版者の序文を見ると、当時会員が3400人くらいに達していたようで、小、中学校の教員や、師範学校の学生などが続々と入会していたようである。大正初期だから、人々が日本国土に地誌的な関心を…

The man who painted roses -The story of Pierre-Joseph Redoute

日曜日なので、郵便局に本を取りに行った。 裏を取りたかったのでやむをえず買った本である。 ルドゥテがルソーの植物学本に挿絵をつけることにした際のエピソードが知りたかった。 しかし中身は軽めの評伝で、文献リストも註も何もなかったのでちっとも役に…

「建築する身体 人間を超えていくために」荒川修作+マドリン・ギンズ 春秋社

家人が「荒川修作の新しい本を買ってきた。」といったので、 表題のものかと思ったら、トイレットペーパーを手渡された。 トイレットペーパーバージョンであった。 ロールに字が印刷してある。・・読めないではないですか。定価350円。

スワン 有吉京子

知人が正月読んではまったらしい。偶然図書館で見つけたので借りてきて読んだ。 ガラスの仮面も途中で読み止めることが出来なかったが、今回は幸い全巻借りなかったため 借りた分が終わって日常生活に戻れた。長編ものではまると、他の事が出来なくなって困…

最近読んだ本

天体の回転について (岩波文庫 青 905-1) コペルニクス著 矢島祐利訳 1543/1953 その著を捧げた法王パウルス3世に向かって、序文で哲学者の仕事は神が人間の理性の許すかぎりにおいて真理を探求すること、と前置きした上で、自らがいかにして説を発表する…

吉田健一『金沢』

昨日受けたメールで詩人が吉田健一の『金沢』のことに触れていた。 文体と長さに苦言を呈しておられたが、あれはあれでいいのでは。 長いことや、突然出てくるベルクソンのことなど些末なことですから、 しばらくすれば記憶から飛ぶでしょう。 イメージだけ…

内山芳美氏逝去。 与えられてたまたま読んでいた本の編者有山輝雄氏の師。 この本は論集。 新聞の、中立論説という自己検閲の出来ていく過程が面白い(白虹事件)。また、口述文化がテキストに取り込まれていく過程が資料研究によりかいま見えます。