やきものに親しむVI 陶磁の東西交流 ―景徳鎮・柿右衛門・古伊万里からデルフト・マイセン― 特集展示:南蛮風俗図

11月1日(土)〜12月23日(火・祝)

15世紀後半期は、ヨーロッパ勢力にとっての“地理上の発見”の時代と言われていますが、16世紀にはいると、彼らの東洋への進出が本格化します。その時彼らが香辛料とともに東洋に求めたものは、優れた中国・景徳鎮の磁器でした。やがて17〜18世紀になると、日本の肥前地方に華やかに開花した柿右衛門古伊万里の磁器芸術も、強い憧れをもってヨーロッパの王侯・貴族に受け入れられ、その宮殿や生活文化を彩りました。
17世紀に主として東西の世界を結んだのは、オランダ東インド会社でした。彼らを介してヨーロッパにもたらされた東洋の陶磁器は、ヨーロッパの陶芸に強い刺激を与えました。18世紀にようやく始まるヨーロッパ磁器は、熱心に東洋陶磁を写すことを通じて成長したのです。一方、肥前磁器もヨーロッパからの注文に応えることを通じて技術を養い、需要に応えることによって産業としても発展してゆきました。これはまさに陶磁器による東西交流と言えるでしょう。
本展では、17〜18世紀を中心に花開いた陶磁の東西交流を、中国・景徳鎮をふくむ東洋の磁器と、それらを熱心に写し、学んだヨーロッパの陶磁器との比較展示でご紹介します。交流史上の数々のエピソードを交えて鑑賞していただきながら、交流を進めた人々の熱意や、時として生じるほほえましい“誤解”、陶工や商人たちのたくましい営みなどを楽しく感じ取っていただけたら幸いです。

担当者のセンスが解説キャプションに光る!本質的なことを、楽しく感じ取らせることに大成功している展覧会であった。
ケンタウロスを描いた染付に笑い過ぎ、廻りをはばかり笑いをこらえ涙が出た。会場で作品を見て文字通り腹を抱えて笑える展覧会も珍しいです。解説の誘導力大。縁側の図像の西洋的解釈にも要注目。
柿右衛門の名品や、司馬江漢の軸物等、出光の名所蔵品も出ている。
それにしても、こうした陶磁の東西交流に光を当てた展覧会って、ちょっと前のドレスデン展や、今回の出光展ですごく新鮮に感じたけど、実は企画としては伝統的で、戦後ものすごく沢山なされていることが調べるとわかったのであった。だからといって、この展覧会の価値が減る訳では全くないが。