戦争と表象/美術ー20世紀以降 国際シンポジウム 

3月4日、5日 東京国立博物館平成館講堂
主催 国際シンポジウム「戦争と表象/美術 20世紀以降」実行委員会
共催 千葉大学大学院社会文化科学研究科

第一セッション 日露戦争から15年戦争
第二セッション アジアと日本
第三セッション 第二次世界大戦期Ⅰ 日本という国家と表象
第四セッション 第二次世界大戦期Ⅱ それぞれの国家と表象  

総合司会 長田謙一
コメント・司会 丹尾安典、来留島浩、吉見俊哉、三宅晶子

内容の濃いシンポジウムだった。美術史畑からのアプローチが多かったが、社会学歴史学分野からの発表もあり広がりを見せた。科研はこうでなくては。内容割愛。個人的にダイレクトな興味対象だったのは下記。

  • 再考・青木繁「海の幸」ーゼツエッシオン/日露戦争 長田謙一(若桑さんから「新機軸」と評されていた。ちなみに若桑さんはこのセッションの進行者を「シュンポジオン」なら皆(コメンテーター以外)にも喋らせよと一括。次のセッションからの進行方針を変える。)
  • 日露戦争の戦跡 一ノ瀬俊也(日露戦争戦跡の意味づけの変遷を辿る。軍事マニュアルの専門家という発表者の視点は興味深かった)
  • ダンス 朝鮮・日本 木村理恵子(雀承喜の「朝鮮舞踊」をめぐるコロニアリズムモダニズムの問題。この方は過去に「ダンス!」展という私が賞賛してやまない展覧会を企画した方)
  • 戦時とモダン・デザイン 森仁史(商工省工芸指導所における戦時期の活動にみるモダニズムの問題 会場からの「民芸」との絡みに関するつっこみにも明快にお答えくださった)

戦争と建築 五十嵐太郎(戦時期の建築におけるモダニズムの問題 帝冠様式ナショナリズムファシズムという言説の短絡さについて、過去の建築史家が語ったことの、敷衍ではあるが重要な観点に基づいた発表、神社建築についてのコメントはこの方らしい面白いものだった)
この他の発表も示唆に富むものだった。
(第2セッションでは若桑氏による「南京虐殺と女性」(あえて英訳はMassacre)など、戦争と表象とフェミニズム関連の発表が固められていたがそのあと予定があったので聞かず)
惜しむらくは時間の都合で、発表のあとのシンポジウムがいずれも時間不足だったこと。