石川県西田幾多郎記念哲学館

かほく市は西田の生誕地なのだそうだ。
安藤忠雄設計の建物はなだらかな丘の上に立っていた。
ふもとの駐車場からのアプローチが長くゆるやかな坂道となっていて、その名は「思索の道」。
建物には、通路兼思索に耽る場、というようなあいまい空間が何カ所か設えてあった。
思索の場としては展望室がそっけなくてとても良かった。
コンクリートうちっぱなしの壁で、ときどき西田の言葉を印刷したポスターが
感じよく掛けてある。そのポスターがイチハラヒロコを連想させるレイアウトで、
西田のことばにイチハラのポップなイメージがぶつかって妙な感じだった。

展示は、哲学というものを一般人に向かって展示しようという試みている展示室と
西田をテーマにした展示室に分かれている。

哲学の展示室は、映像やイラスト、インタラクティブなCGで演出してあるが無理がある。
だが何か形にしなければいけなかったのだろう。

西田の資料は面白かった。直筆原稿や愛用眼鏡、家族にまつわる思い出の品など。
親友との対談テープの展示など、肉声がきけて意外だった。
こちらの部屋は焦点がはっきりしていて展示に魅力がある。

図書室の西方向がガラス張りで本がやけそう。
そちら向きの本棚にひとつひとつ紙のフタがしてあったところに
建築を引き渡された後の方々の苦労がしのばれた。