吉村順三建築展 東京芸術大学大学美術館

11月10日〜12月25日

吉村順三建築展が始まった。東京美術学校建築科出身として吉田五十八と並ぶ建築家なのである。建築の展覧会としては素人にも分かり易く出来ていて、しかもださくない。

建築展の場合、実物展示はありえないから、様々なメディアで建築というものを表象するわけだが、単なる説明に終わるのか、あるいはメディアのメディアたる点が生きてくるのかはやり方ひとつだろう。
この展覧会はスケール感が面白く、身体感覚にうったえるものがある。
美術館外の大看板に「軽井沢山荘」立面図が印刷されている。1/1スケールなのである。
展示室内の模型群は主に学生諸君による制作。良くできていると思う。地平面に目線を持っていくと、ディティールが見渡せて、親近感のようなものを覚える。素材を木で統一してあるためその物質感も親和性に貢献している。
住宅の写真パネルで室内が見渡せるが、これは隣の部屋からみた視線、スケール感。
いわゆる「吉村天井」が実際の高さを再現して美術館の天井からぶら下がっている。それから「吉村障子」。夜は室内側からライトアップされるため、障子から明かりがもれて、丁度夜よそのお宅の前を通っているような。しかし位置的には実際あり得ない高さなのだが。
吉村順三の仕事がよく分かり、また美術館というメディアについても、改めて考えさせられた展覧会だった。