目黒不動尊の近代美術 書家・豊道春海と彫刻家・後藤良〜伝統と近代の相克〜 目黒区美術館

4月23日〜5月22日

楽しみにしていた展覧会。とはいえキャッチーじゃないので、どれだけ見た人がいるか、、、
と思っていたら、図録は完売していた。正確には残部2冊だった。


豊道春海は書道の地位を「藝術」に食い込ませ、日展に書道部門が出来たのも彼によるところが大きいらしい。日本の近代「藝術」は官展に部門が出来ることがひとつの目安となっていたし、それに尽力できるということは、そのジャンルの大立て者なのである。
後藤良(なおし)は、後藤貞行の息子で、高村光雲高村光太郎父子のように、彫刻家2代目。明治から昭和までの彫刻界にいたのだからその作品は「日本人は何をもって彫刻とするか」という問いへの一つの答えになっていて、作品の存在自体が面白い。能のシテ方の立ち姿とか。田中とはまた違った作品世界。
目黒不動尊に残された碑文と仁王像から二人の軌跡を掘り下げ、日本の近代化に対して慎重な姿勢を示した彼等から、日本の近代のあり方を逆照射しようとする野心的な展覧会であった。