Choses lues, choses vues @site Richelieu / Salle Labrouste, La Bibliothèque nationale de France

23 octobre 2009 / 31 janvier 2010


通常展覧会はなんとなく「museum」のタグにしていたけどこれは図書館でのインスタレーションなので「展覧会」というタグもつくるべきか。

Alain Fleischerによる、閲覧室を使った展示。フランス国立図書館リシュリュー館はアンリ・ラブルースト Henri Labrousteが19世紀半ばに設計したもの。ガラスと鉄骨を使った優雅なドームを持つ1階の閲覧室全体がインスタレーションの会場。閲覧室はとても暗く、席のひとつひとつに備えられたデスクライトだけがともっている。部屋にいるとまず、ざわざわとしたざわめきを聞く事になる。天井が高いので、それらのざわめきは部屋全体に響いているがうるさくはない。箱に入ったモニターが閲覧席のそこここに設置されていて、そのひとつひとつには、色々な人、子供、女性、おじさん、、が、色々な場所で本を朗読している映像が入っている。それら、朗読する声の総和がざわめきとなって、閲覧室全体を満たしていたのだ。映像を見たかったら箱のガラスのふたを開けて見る。それから閲覧室の奥には、スタンダールとか、ユーゴーとか、プルーストなどの自筆原稿が展示されている。「失われた時を求めて」の手書きノートを見られたのはちょっと感激。
時々、全てのデスクライト、モニターの映像が消え、ざわめきも消え、水の流れるような音と共に部屋の奥に巨大スクリーンが出現し、ひとりの人の朗読がエフェクト付きで投影される。それが終わるとまたデスクライトが灯り、映像も再開し、ざわめきが始まる。
音も映像も機械の動作もかなりきちんと制御されているが、そこがポイントではなく、読書したり、朗読したくなったり、人々の本を読む姿に見とれたりと、素直に本について何か考えることができるように出来ているのがすごい。

いいインスタレーションだった。今年早々のヒットでございました。