複製技術時代の芸術  ヴァルター・ベンヤミン

表題作を読んでいるといらいらしてくる。引用で繋げながら間接的に指し示すばかりでずばり言わないというか、これはこれでスタイルだからいいということなのか。写真小史も肝心なところはそんな感じ。そもそも視覚的無意識とか、知覚の変容とか、写真や映画の知覚への作用に関する考察はだれかさんからの影響下にありすぎで、自分で展開させている箇所はほとんどがぱっとしない。しかるになぜベンヤミンの写真論が注目されたのかといえば、、。写真にはけっきょくキャプションが大事、といっているのはいい。

複製技術時代の芸術 (晶文社クラシックス)

晶文社の前の著作集に入っている表題作は美術関連の訳語がところどころ変。ヴァレリーの引用部分は訳ミスあり注意。今のは直っているかな。寺田透の訳の方が分かりやすかった。