小林古径展 東京国立近代美術館

最近下図、スケッチ、写生帳がマイブーム。
という訳で本展の写生帳から読み解く古径は面白かった。古径は入念に下図を描く人で、というか近代日本画家は大抵そうだが、下図を見ると本画で何を決め手にしようとしたかよく分かる。
出品されていた写生帳もなかなか良かった。意外に鮮やかな色彩を使っていたり、しっかりしたデッサンをやっていたりするので、本画のあっさり感は大変意図的だということが理解できる。実際あっさりした絵の並んだ、前回のゴッホとは対極にある会場の雰囲気。上司の「体の弱そうな人だ。」という感想が妙に説得力をもつような画風だが、かなり繊細なところで勝負していて、あれはしぶとさ、強さがなくては出来ないんではなかろうか。実際長生きだったし。病弱は春草だろう。


ゴッホ展の喧噪に比べれば今回は落ち着いて鑑賞できるでしょう、たぶん。