私が思うところの讃えるべき映像作品

先日とある大学4年生から送られてきた卒論の参考にするためのアンケートを見て呆れて怒ってしまったのはなぜかというと、それは「デジタル化された美術作品」を廻る質問の数々だったのだが、デジタル化された美術作品、という定義付けが無く答えようがなかったからである。知らない人に突然質問するなら場合に応じた作法というものがあると思うけど、周りの人は教えてくれなかったのだろうか?燃やして捨てちゃえとも思ったが思い直して翌日電話した。デジタル化された美術作品ってどういう意味ですか?データベースなどで公開されている文字情報と画像情報の集積を意味してると解していいですか。あ、はい。という感じで始まったやり取りの中で心配になったのは、その方が写真と被写体の関係についてあまり意見を持っていなかったことである。意見はあるが聞くに徹する構えでいたのだろうか。デジタルイメージに対して今時の10代はどういう感覚を持っているのだろう。情報の質は同じで、違いはただ、被写体が「本物」であるに過ぎないとでも思ってるのだろうか。デジタルによる美術作品については?まずメディアについての勉強から始めて欲しいものだ。そういうことだから先日の裁判みたいに、陪審員制度への影響を危惧して「状況再現写真」の証拠提出が無効になったりするんです。


その後数日経ち、私が好む映像作品というのはイメージが固有の意味を保持しつつ見たこともない景色を出現させているような類のものです、と、自分の好みを初めて一言するに至った。観念連合の果てにやなぎさんへ思いを馳せたからでもあります。まあアンケートに答えて良かった。